令和6年度 都城市郡医師会病院 病院情報の公表

令和6年度(令和6年6月1日~令和7年5月31日)中に当院の一般病棟を退院された患者さんのデータを集計しております。
集計対象患者は、医療保険を使用された患者さんのみを対象とし、自動車賠償責任保険や労災保険、自費等は含めておりません。
入院後24時間以内、又は、生後1週間以内の死亡等は集計対象外としております。
平均年齢は、最初の入院日時点の年齢を基準としております。
患者数が10未満の場合は、-(ハイフン)で掲載しております。

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
  4. 転倒・転落発生率
  5. 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
  6. 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
  7. d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
  8. 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
  9. 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 444 108 68 78 134 281 670 1301 1126 491
当院は、地域の中核病院として、幅広い年齢層の患者さんを診察しています。特に60歳以上の患者さんが7割を超え、症状が比較的重症になりやすい高齢者の入院が多くなる傾向にあります。
小児期の患者さんが多くなっている理由として、当院が小児救急に積極的に取り組んでいること、都城夜間急病センターを併設している環境体制が理由に挙げられます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1 なし、1,2あり 手術・処置等2 なし 159 4.75 4.18 2.52 72.06
050070xx03x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2 なし 122 4.05 4.47 0.82 67.94
050050xx9910xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 120 3.27 3.07 2.50 71.47
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 113 22.83 17.33 11.50 83.88
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1 なし、1,3あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 84 10.39 9.59 4.76 82.02
循環器内科では、急性冠症候群(急性心筋梗塞・不安定狭心症)等の一刻を争う心臓の救急医療も積極的に受け入れています。症例としては、①狭心症などに対する心臓カテーテル検査や治療目的の入院②不整脈に対する治療目的の入院が多くなっています。①狭心症などに対し治療前・治療後の心臓カテーテル検査入院を行い、必要に応じて、カテーテル検査から引き続き狭くなった冠動脈を拡張させる手術を行います。②不整脈に対しては、カテーテルアブレーション治療やペースメーカー植え込み治療を行なっています。又、高齢化社会の進行とともに、慢性心不全患者も多くなっており、利尿剤を中心とした心臓リハビリも併せた治療を行っています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 45 15.91 8.88 11.11 78.13
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 32 9.56 4.54 6.25 67.69
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 26 8.62 5.99 0.00 66.54
060335xx99x0xx 胆嚢炎等 手術なし 手術・処置等2 なし 26 15.58 11.29 15.38 70.00
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 25 7.84 5.32 0.00 39.12
外科で最も多い症例は胆管結石、胆管炎の症例です。胆管結石で感染や炎症を起こすと緊急の処置が必要となるため、内視鏡治療である胆管の出口を拡張して結石を摘出するバルーン拡張や乳頭括約筋切開等を実施しています。
2番目に鼠径ヘルニアに対する鼠径ヘルニア手術等の症例、3番目に胆嚢疾患(胆嚢結石など)の腹腔鏡下胆嚢摘出術等、続いて、胆嚢炎等による保存的治療の症例が多くなっています。またその他、虫垂炎に対する手術も多く行っています。
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 45 11.47 20.78 48.89 81.36
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 36 12.25 16.40 38.89 86.97
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 35 12.94 13.66 34.29 81.20
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 28 4.39 3.58 3.57 59.71
0400800x99x0xx 肺炎等(市中肺炎以外) 手術なし 手術・処置等2 なし 26 13.46 18.16 38.46 88.04
救急科は重症外傷や急性疾病など様々な疾患に対応しているため診断名や手術・処置内容で細分化される診断群分類では統一されたDPCコードが出にくい傾向となっています。
例年患者数が多い傾向にあるのが院外心肺停止、薬物中毒、事故等による脳震盪・胸部外傷等の救急対応が必要な症例であり、救急科はDrカーによる救急現場での救命医療の提供や、Drヘリ症例の一次受け入れも行い必要があれば他科にコンサルトを行います。
地域医療支援病院として他医療機関から感染症等により重症化した症例の受け入れも行っています。
令和6年度は、誤嚥性肺炎や市中肺炎の症例が多くみられ、平均年齢も80歳を超えています。続いて、尿路感染症や、薬物中毒の症例が多くなっています。また、昨年同様、新型コロナウイルス感染症の症例も多くみられますが、集計条件の対象外のため、掲載されていません。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060xx99x40x 脳梗塞 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 92 16.48 16.89 63.04 75.99
010060xx99x20x 脳梗塞 手術なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 56 14.88 16.94 48.21 79.25
010030xx991xxx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術・処置等1 あり 35 2.14 2.86 0.00 60.86
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 32 15.38 18.68 62.50 63.03
010040x199x0xx 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 27 19.93 22.21 74.07 76.48
脳神経外科では脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)の急性期治療のための入院が多くなっています
特に脳梗塞の緊急入院が多くなっており、急性期治療を当院で行いリハビリ継続のため転院する症例も多くみられます。急性期治療では早期に血流を回復させて脳の障害を最小限に抑えることが重要です。主な治療法のひとつが、発症から4.5時間以内に適応がある場合に使われる血栓溶解薬tPA(組織型プラスミノーゲンアクティベーター)です。これは、詰まった血管内の血栓を溶かして再灌流を促します。また、エダラボンという薬剤も使われることがあり、これは脳のダメージを抑える作用(フリーラジカル除去作用)を持ち、発症早期の脳保護に用いられます。急性期治療後のリハビリテーションも非常に重要です。症状が安定した後、手足の麻痺や言語障害などの後遺症の回復を目指し、リハビリを継続するため転院する場合もあります。
次に未破裂脳動脈瘤や内頚動脈狭窄症の評価に対して、脳血管造影を実施する症例が多くなっています。脳血管撮影は、血管内に造影剤を注入してX線撮影を行うことで、脳の血管の形態や閉塞、狭窄、動脈瘤の有無・位置・大きさなどを詳細に観察する検査です。
そのほか脳出血の保存的加療の症例も多くなっています。脳出血の治療では、まず出血による脳の圧迫や損傷を最小限に抑え、生命維持と合併症予防を目的に行われます。主な治療としては、血圧の管理や薬剤による脳浮腫(脳の腫れ)の抑制、必要に応じて止血薬の投与が行われます。また、治療後はリハビリテーションを行い、後遺症の回復や社会復帰を目指します。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 165 5.00 6.38 0.00 1.75
0400801199x0xx 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2 なし 60 5.02 5.61 0.00 5.40
060380xxxxx0xx ウイルス性腸炎 手術・処置等2 なし 31 3.42 5.55 0.00 6.19
150040xxxxx0xx 熱性けいれん 手術・処置等2 なし 28 3.96 3.51 0.00 2.25
150070x0xx01xx 川崎病(2歳以上) 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 18 6.39 9.72 0.00 3.00
小児科では、令和6年度の診断群分類患者数は、風邪などのウイルス感染がきっかけとなった喘息性気管支炎がほとんどを占めています。平均在院日数は5日となりました。続いて、市中肺炎、ウイルス性腸炎、熱性けいれんの順となっています。令和6年度は、川崎病の症例も多くみられガンマグロブリン点滴を行い、平均在院日数6日、平均年齢3歳となっています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx02xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 64 28.06 25.29 64.06 83.98
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 29 40.90 21.38 3.45 77.59
160760xx02xxxx 前腕の骨折 骨内異物(挿入物を含む。)除去術 前腕、下腿等 23 3.22 3.06 0.00 48.13
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 12 18.58 19.16 58.33 77.17
160850xx01xxxx 足関節・足部の骨折・脱臼 骨折観血的手術 鎖骨、膝蓋骨、手(舟状骨を除く。)、足、指(手、足)その他等 12 40.75 17.84 16.67 44.92
整形外科では、外傷全般(成人・小児)・慢性疾患(人工関節・リウマチ・脊椎病変)・スポーツ外傷などの症例を対応しています。
令和6年度は大腿骨近位部骨折で手術を行う症例が最も多くなっています。大腿骨近位部骨折の手術治療では、骨折の部位やずれの程度、患者さんの年齢や全身状態に応じて治療方法が選ばれます。一般的には、骨折を元の位置に戻して金属のプレートやスクリュー、人工骨頭などで固定する手術(観血的整復固定術や人工骨頭置換術)が行われます。手術後は、早期からリハビリテーションを始めて歩行能力や日常生活動作の回復を目指します。また約6割が転院しており地域の医療機関との連携強化も積極的に行っています。
次に変形性膝関節症に対する人工膝関節置換術を実施する症例が多くなっています。人工膝関節置換術では、傷んだ膝関節の骨や軟骨を削り取り、人工の関節(インプラント)に置き換える手術です。手術後は、早期からリハビリテーションを行い、膝の機能回復と社会復帰を目指します。
そのほか、前腕骨折(橈骨・尺骨骨折)の手術を要する症例、胸腰椎圧迫骨折で入院が必要な症例などが多くなっています。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 13 11.85 11.35 46.15 69.54
110290xx99x0xx 急性腎不全 手術なし 手術・処置等2 なし 11 16.09 13.54 9.09 64.55
110280xx97x3xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 その他の手術あり 手術・処置等2 3あり - - 37.94 - -
180010x0xxx4xx 敗血症(1歳以上) 手術・処置等2 4あり - - 37.05 - -
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし - - 20.78 - -
腎臓内科では、慢性および急性腎不全の患者さんの治療、末期腎不全の患者さんに対する血液透析を行っています。腎臓病の原因に応じた治療や、腎臓病の進行にかかわる糖尿病・血圧・脂質・尿酸のコントロール、腎臓病に合併する病気の検査・治療、塩分制限や蛋白制限などの食事療法、腎臓病の指導などの集学的な治療を提供しています。
また当院では、重症感染症や心疾患等の他疾患と併せて腎臓病の治療を行う事も多く、総合的な管理を行なっています。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040110xxxx00xx 間質性肺炎 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 17 14.76 18.68 17.65 76.88
040110xxxx03xx 間質性肺炎 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 3あり 10 20.40 26.44 10.00 71.10
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし - - 20.78 - -
040110xxxx02xx 間質性肺炎 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり - - 26.88 - -
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし - - 16.40 - -
呼吸器内科では主に間質性肺炎などのびまん性肺疾患の診療を行っています。間質性肺炎のうちで最も多いとされる特発性肺線維症は、時に致死的な急性増悪を起こすことがあり、慢性的な呼吸困難や食思不振などにより日常生活に支障をきたす場合もあるため、一般的な悪性腫瘍と比較しても予後は不良です。薬物治療に際しては、治療の必要性や医療費補助制度について丁寧に説明を行います。その他、呼吸リハビリテーションや栄養指導を実施し、ソーシャルサポートを得て慢性呼吸器疾患を有する方々のQOLの改善・維持に努めます。
令和6年度は休診期間があったため、前年度と比較して患者数に差異が生じています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 - - 15 19 - - 1 8
大腸癌 - 33 54 22 - - 1 8
乳癌 - 1 8
肺癌 - - - - - -
肝癌 - - - 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
発症例数が多いとされる5大癌(胃癌・大腸癌・乳癌・肺癌・肝癌)の令和6年度の患者さんの人数を、初発(UICC TNM分類)・再発に分けて集計しています。
Stage分類とは、UICC(国際対がん連合)が定めた腫瘍の分期分類で、T(原発腫瘍の広がり)・N(所属リンパ節転移の有無と広がり)・M(遠隔転移の有無)を評価し、それを指標に癌の進行度を表したもので、治療前に得られた情報に基づきます。
当院は、胃癌・大腸癌の患者さんが多く、手術や化学療法など患者さんの状態に合わせた幅広い治療を行っています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 63 12.67 76.51
重症 33 20.64 80.58
超重症 13 21.08 83.92
不明 - - -
令和6年度の成人(18歳以上)の肺炎患者さんについて、重症度別に患者数・平均在院日数・平均年齢を集計したものです。
市中肺炎とは、病院や医療施設に入院していない一般の健康な人や軽度の基礎疾患を持つ人が、日常生活の中でかかる肺炎のことです。主な症状は発熱、咳(湿性または乾性)、痰(白色・黄色・緑色など)、呼吸困難、胸痛などです。ただし、高齢者や免疫力が低下した人では典型的な症状が出にくく、発熱が軽度または無い場合もあります。
当院では118名に対応しており、患者数が最も多いのは中等症です。重症が続けて多く、超重症、軽症も少なからず存在しています。中等症以上の患者さんの平均年齢は75歳以上と高齢になっています。患者さんの平均年齢が上がり、重症度も比例して高くなっています。
重症度は、「尿素窒素(BUN)」「動脈血酸素飽和度(SpO₂)」「血圧」の結果、及び「意識障害」「免疫不全状態」「肺炎重症度規定因子」を基準に沿って評価し、その結果を合算したもので、評価値が高いほど重症となります。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 222 18.17 77.73 57.45
その他 13 18.31 78.69 4.26
脳梗塞(I63$)に分類される症例の患者数です。急性期脳梗塞の患者さんの平均年齢は78歳で後期高齢者の方が多くなっています。平均しておよそ18.2日程度の入院期間で急性期加療、リハビリを行い、自宅もしくは施設に帰られるか、半数以上の方が継続リハビリの為、後方支援病院に転院されています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 132 3.98 5.02 4.55 71.97
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 106 1.06 2.70 0.94 68.30
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 86 1.19 3.08 2.33 74.85
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) 55 0.31 14.38 9.09 74.96
K5461 経皮的冠動脈形成術(急性心筋梗塞) 54 0.04 20.54 5.56 71.00
循環器内科で多い手術症例は、心筋梗塞や狭心症などに対する心臓カテーテル治療です。緊急で行う場合や検査と同時に行う場合、検査から日数を空けて行う場合、検査後一旦退院してから再入院して行う場合など、患者さんの状況に合わせて手術を行っています。
また、下肢の閉塞した血管をカテーテルにて拡張する治療や不整脈に対するカテーテルアブレーション治療、ペースメーカーの移植なども行っています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 43 6.21 18.91 13.95 83.42
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 43 5.86 6.81 2.33 65.40
K6335 鼠径ヘルニア手術 31 3.77 6.32 6.45 67.74
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) 等 23 6.39 10.52 17.39 79.43
K654 内視鏡的消化管止血術 19 0.89 15.84 26.32 76.32
外科で最も多い手術症例は、内視鏡的胆道ステント留置術です。内視鏡的胆道ステント留置術は、胆管腫瘍や結石で胆汁の流れが悪くなり、黄疸や胆管炎を伴う症例に対して胆管の出口から内視鏡を用いてステントを挿入し胆汁の流れをよくする手術です。
2番目に胆嚢結石や胆嚢炎に対して行われる腹腔鏡下胆嚢摘出術です。状況によっては開腹での胆嚢摘出術を行いますが、当院では小さな穴を開けて行う腹腔鏡下での胆嚢摘出術を主に行っております。
次いで、鼠径ヘルニアに対する開腹でのヘルニア手術、胆管結石等に対する内視鏡的乳頭切開術なども多く行っています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術(膝) 等 49 4.18 36.90 4.08 74.76
K0461 骨折観血的手術(大腿) 等 44 3.89 25.23 52.27 75.64
K0811 人工骨頭挿入術(股) 30 5.00 19.37 76.67 84.33
K0483 骨内異物(挿入物を含む)除去術(前腕) 等 23 0.96 1.35 0.00 60.57
K0462 骨折観血的手術(前腕) 等 21 4.67 23.52 9.52 55.19
整形外科では人工関節置換術が多くなっています。人工膝関節置換術では、傷んだ膝関節の骨や軟骨を削り取り、人工の関節(インプラント)に置き換える手術です。
続いて大腿骨近位部骨折に対する手術が多くなっています。骨折観血的手術は、骨折した骨を金属のスクリューやプレート、髄内釘(ネイル)などのインプラントで固定し、骨を正しい位置に整復して安定させる手術です。人工骨頭挿入術では、折れた大腿骨頭を切除し、代わりに人工の金属製ステム(柄の部分)を大腿骨の髄腔内に挿入して固定し、その上にセラミックなどでできた人工の骨頭(ヘッド)を装着して股関節を再建する手術です。
そのほか前腕(橈骨・尺骨)骨折に対して骨折観血的手術(プレートとスクリューを用いて固定)を実施する症例や主に骨が十分に癒合(くっついた)した後、違和感の軽減、将来的な腱断裂リスクの予防を目的として行われる抜釘手術が多くなっています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 39 0.46 12.95 25.64 81.59
K1781 脳血管内手術(1箇所) 28 3.14 27.32 42.86 67.89
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 15 1.27 10.07 6.67 73.67
K178-4 経皮的脳血栓回収術 14 0.00 20.57 71.43 73.86
K1783 脳血管内手術(脳血管内ステント) - - - - -
令和6年度の脳神経外科で最も多い手術症例は、慢性硬膜下血腫に対する穿孔洗浄術です。穿孔洗浄術は、局所麻酔下で頭皮を切開し、頭蓋骨に小さな穴(穿頭孔)を開けて硬膜を切開します。そこから溜まった血腫を吸引・除去し、生理食塩水で血腫腔内を洗浄します。洗浄後、血腫腔に細いドレーン(管)を挿入して血腫や洗浄液の排出を促します。
次に多い手術は、脳血管内手術です。脳動脈瘤の治療に用いられる血管内手術の一つで足の付け根の大腿動脈から細いカテーテルを挿入し、血管内を通して脳動脈瘤の中に到達します。そこで、プラチナ製の柔らかい細いコイルを動脈瘤内に詰め込み、血栓を形成させて動脈瘤を固め、血液の流入を遮断して破裂を防ぐ治療法です。開頭手術に比べて身体への負担が少ないという特徴があります。破裂した脳動脈瘤によるくも膜下出血に対して実施されることもありますが、再出血を防ぐことが最優先となります。破裂動脈瘤の場合、未破裂動脈瘤よりも手術リスク(死亡率や後遺症発生率)が高くなる特徴があります。
内頚動脈狭窄症に対する経皮的頸動脈ステント留置術(CAS)では、バルーンカテーテルで狭窄部を拡げ、その後に金属製の網状ステントを留置して血管内腔を広げます。さらにバルーンでステント内を拡張し、血流の改善を図ります。
経皮的脳血栓回収術は、急性脳梗塞の治療法の一つで、足の付け根などの血管から細いカテーテルを挿入し、脳の血管内で血栓を直接機械的に回収して閉塞を解除し、血流を再開通させる手術です。血栓をステントリトリーバー(網状の器具)で絡め取ったり、吸引カテーテルで吸引除去したりして血管を開通させます。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる 11 0.23
180010 敗血症 同一 - -
異なる 19 0.40
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 - -
異なる - -
感染症および合併症の発生率を示したものです。 
当院が二次救急医療指定病院として、入院時からの重症な症例と併せて合併症症例を多く扱っている事が分かります。
手術・処置の合併症では入院契機となった傷病名と同一症例となっています。内訳は、術後の創部感染などで0.15%となっています。また当院は二次救急医療指定病院として他の医療機関からそのような症状になった症例の受け入れも行います。
手術・処置の合併症は治療を行う過程でやむを得ず望ましくない症状や状態が発生した症例などを示しています。正しい診療を行っていても患者さんの容態や症状によっては、予期できない症状が出ることがあります。
これらについては事前に十分に説明した上で発症が最小限になるように努めています。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
322 320 99.38%
肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症は突然死を引き起こす可能性のある極めて重篤な疾患で大きな手術後や長期臥床の際に起こります。予防のために弾性ストッキングの着用や抗凝固薬療法があり、リスクレベルに応じて単独あるいは併用にて予防対策を実施することが重要です。
この項目では肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策(弾性ストッキング、間歇的空気圧迫装置、抗凝固療法)が実施された症例の割合を計上しています。  
当院の対策実施率は現在約99%となっております。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
1494 1316 88.09%
血液培養検査は血液中の細菌を同定し必要な抗菌薬の使用選択を目的としております。血液培養検査は2セット以上での実施によって原因微生物の検出感度や検査精度の向上が期待できます。
当院での血液培養2セット実施率は約88%となっており、今後もより質の高い感染症診療に貢献できるよう取り組みを続けていきます。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
550 505 91.82%
近年、抗菌薬が効かなくなる抗菌薬耐性菌が出現し、難治症例が増加していることが世界的に問題になっています。耐性菌の発生や蔓延を防ぐため、細菌培養検査を実施し、抗菌薬適正使用を推進する取り組みが求められます。
当院での抗菌薬使用時の細菌培養実施率は約92%となっています。
転倒・転落発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
64947 116 1.79‰
当院で入院診療を受けられている患者さんが、転倒・転落された件数を示す指標です。
転倒・転落は、入院という環境変化への適応に患者さんの年齢や認知力が影響し、発生に差が生じると言われています。入院中には、ベッド周辺、歩行途中、トイレの行き帰りなど、思わぬところで転倒転落があります。転倒・転落により、外傷や打撲だけでなく骨折・脳出血等重大な障害を起こす事もあり、防止に向けた対策、予防計画立案や実施が重要になります。当院の発生率は、約1.79‰となっています。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生したインシデント
影響度分類レベル3b以上の
転倒・転落の発生件数(分子)
転倒転落によるインシデント影響度
分類レベル3b以上の発生率
- - -
インシデント影響度の分類レベル3bとは、濃厚な処置を要した(バイタルサインの高度変化、人工呼吸の装着、手術、入院日数の延長、骨折など)を示し、当院は、0.1‰未満の発生率となっています。
分子の値が10件未満と小さく、医療の質として良好な結果ですが、値が小さすぎるため「-(ハイフン)」で表示しています。
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
505 465 92.08%
手術開始前1時間以内に予防的抗菌薬を投与することが重要なのは、細菌が侵入しても抗菌薬の血中および組織内濃度を十分に高い状態に保ち、感染の発症リスクを低減するためです。具体的には、抗菌薬は術中の細菌汚染レベルを患者自身の免疫防御機構でコントロール可能な範囲まで抑える役割を果たし、これによって手術部位感染(SSI)の発生率が有意に減少します。ただし、患者さんの状況や手術の種類によっては投与ができない、あるいは推奨されない場合があります。
当院での、令和6年度の全身麻酔手術で手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率は、505件中、465件であり、92%となっています。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
63229 38 0.06%
当院で入院診療を受けられている患者さんに褥瘡(d2以上)が新規に発生した件数を示す指標です。
日本褥瘡学会が提唱している褥瘡の評価・分類ツールである「DESIGN-R分類」の項目の一つに「D: 深達度(Depth)」があります。「深達度」とは、皮膚のどの深さまで組織が損傷しているかを示す指標です。これは褥瘡の重症度を判断し、適切な治療方針を決定する上で非常に重要な要素となります。
また、褥瘡は、患者さんのQOL(生活の質)を低下させる要因となり、看護ケアの質評価の重要な指標の1つになっています。
「褥瘡(d2以上)新規発生率 = 褥瘡(d2以上)新規発生件数 ÷ 延入院患者数」で算出した当院での発生率は0.06%となっています。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
3187 1577 49.48%
入院早期に栄養アセスメントを実施することは、患者さんの栄養不良を早期に発見し悪化を防ぐだけでなく、合併症の予防や治療効果の向上を通じて、回復促進、入院期間の短縮、ひいてはQOLの向上に大きく貢献するため不可欠です。
当院での65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施率は、49.5%となっています。
身体的拘束の実施率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
(分母)
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
身体的拘束の実施率
64947 15930 24.53%
患者さんの状態によっては、治療上必要なチューブ・ドレーン類の自己抜去の危険性や転倒・転落の危険性があります。そのような事態になりますと患者さんの生命の危険性、あるいは外傷・骨折の危険性があり、さらなる処置が必要となる可能性があります。そのような事態を未然に防げるように、行動制限を行う場合があります。安易に身体抑制をするのではなく、それに変わる方法がないか充分検討を行い、治療上やむを得ない場合に実施しております。身体抑制の実施率を低減できる方法や短期間で解除できる努力をしています。当院の身体的拘束の実施率は約24%となっています。身体的拘束は、急性期医療を提供する場合や患者さんの特性によりその必要性が異なるため、他病院と単純に比較することが難しい指標となっています。
更新履歴
2025年9月30日
令和6年度 DPCデータによる病院指標公開